J-フォン(現ボーダフォン)が2000年末に初めてデジタルカメラ付きケータイを発売してから5年も経過していないが,巷にあふれるケータイのほとんどがカメラ付きとなり,写メールやムービーメールがやりとりされ,テレビ電話さえも馴染みになりつつある。これは大学生が,入学してから卒業して就職先に慣れた時間に等しいが,変化というものはそういうものなのだろう。
ケータイにデジカメがついていると,いつでも気軽に撮影ができる。無類のカメラ好きである日本人にとっては,使い捨てカメラ以来の大ヒット機能というわけだが,あっちで「パシャ〜」こっちで「パシャ〜」とみんなが片腕突き出して撮影している様子は,使い捨て時代よりマシとはいえ,あまりエレガントではない。
そして,どこでもカメラの使い方を誤ることで引き起こされるのは,盗撮画像漏洩やデジタル万引きといった行為(※盗撮はプライバシー侵害になるが,デジタル万引きは私的利用に限って犯罪行為とはならないようだ)である。一応,そのような行為がし難いように「パシャ〜」とシャッター音が強制的に出るようになっているのだが,騒がしく混雑した街中では,たとえ聞こえてもどうしようもない現実がある。
書店で立読みをしながら,片手でケータイを取り出して一押し「パシャ〜」とやれば,簡単に内容を記録して持ち去ることができる。もちろんこれまでも暗記したり,紙にメモ書きして写す行為はあった。矢野直明は,これらとの違いをデジタル情報として制約のないサイバー空間と繋がっている点にあると指摘する。要するに複写された情報が漏洩し流布されることによって想像以上の損害を引き起こす可能性がある点で,大きく問題視されるわけである。
そして,つい先日,書店で本を漁っていたら,デジタル万引きの現場に遭遇してしまった。
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