かつて「小便少女もいる」というトリビアを皮切りに深夜帯から放送が始まった「トリビアの泉」も,すっかりお馴染みの人気番組に成長している。深夜時代からゴールデンに移った現在に至っても,計算された番組作りと,独自の面白真面目なセンスが堅持されている点で,この番組の評価は高い。あとは外部要因によって視聴率が低迷する時期が来るまで,根気強く続いて欲しい。
ところで,その番組カラーが堅持されているとは書いたが,「トリビアの泉」における外部とのタイアップネタが増え,この番組の持つ「PR機能」が強調されすぎていることに違和感を持つ視聴者もいるかも知れない。もっともそれもこの番組の当初からの目論見であったわけだし,NHKのプロジェクトXの暴走は問題外としても,民放番組としてはそれこそが収益増進手段である以上,仕方ない。視聴者としてはメタ的な視点から楽しんでしまうしかない。
むしろ最近,この番組のPR機能に注目しているのは,大学広報関係である。なにしろ「確認のVTR」に登場する大学の先生や専門家は,大学の顔として茶の間の前に登場するのである。そして大学の名前が紹介され,専門研究がPRされ,番組の演出に協力することでユーモアと親しみのあるスタッフを有しているとイメージづけられるのであるから,大学広報的には有り難いことこの上ない。
ご存知のように国立大学も今年から独立法人化し,私立大学などと同じ土俵でPR合戦をする時代となった。そこで,旧国立大学としての権威性によって,こうした番組からのオファーを勝ち取れば,CMを制作するよりも効果抜群かも知れない。もちろん,もとをたどれば,トリビアというニッチな知識や研究を支えることの出来る幅広く奥深い研究支援環境を確保維持していくという,高等教育機関としての基本を押さえていることが大事なのは明らかである。
番組制作者側も,その辺については先刻承知のようで,過去のトリビアと同じようなコメントが必要な場合でも様々な大学の様々な先生や専門家に振り分けている点,長らく見ていて感心してしまう。
とはいえ,トリビアごときを確認するために大学が存在しているとか,その程度としか見られないように,大学教育や研究もどんどん前進しなければならないよなぁと思う今日この頃。
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