ニュースで「小学生の4割が天動説」などと取り上げられているのは,今日から岩手大学にて行なわれている日本天文学会の年会で,研究発表される内容がもとになっている。プログラムの中の「天文教育・その他」セクションの1番手がそのグループの発表である。次には「小学生の7割は月の満ち欠けの理由を知らない」という同じモチーフの発表もあり,なかなか興味深い。
細かい検討は出来ないが,この2つの発表要旨から見えるのは,学習指導要領を上方に据えた教育内容のヒエラルキーを前提にした問題意識と,発展学習プログラムによる現実的な教育実践の必要性を前提とした問題意識の違いだ。もちろんどちらもあり得べき態度である。どちらも国立天文台の縣氏がメンバーなので,あえて異なるアプローチで書いているのだと思われるから,詳細は発表を聞いてみないとわからない。
「理科嫌い」への懸念は,あちこちで聞こえるので,そろそろ言葉自体が腐らないように使う側も慎重でなければならないと思う。ただ,思うに天文知識を発揮する場面が,日常生活にほとんどないことの方が,この問題の核心にあるのではないか。あるいは,学校で学んだ知識を隅や忘却のかなたに追いやるような,めまぐるしい消費生活が原因かも知れない。
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