週末は長崎大学で日本教育工学会の研究会があった。研究協力しているプロジェクトで前座となる調査研究の発表を担当することになっていたので,6年ぶり3度目の長崎訪問をした。(仕事している珍しい写真)
「小学生の学習に関する親子の意識や特性に関する分析」
林向達(椙山女学園大学),堀田龍也(メディア教育開発センター),堀田博史(園田学園女子大学),星野徹・牛島大介(株式会社ベネッセコーポレーション)
学校での学習だけでなく,学校外学習との連携が重視されてくる中で,宿題を始めとした家庭での学習を促進させることを考えなければならなくなっている。そのために必要なことは何か,求められているものは何かを把握し,どう働きかけるべきかは,体系化されていないし,共通認識が固まっているとも言い難い。
子どもの学習環境や学習現実をどのように設計(デザイン)していくのか。その鍵プレイヤーである「親」はどう関わり,振る舞うべきか。このことに関する知見を固めていくことが,広義のカリキュラム観点からも大事だし,教育工学的に支援ツールを開発する観点からも重要だ。今回の研究発表は,そういう取り組みの最初の最初。予備調査による仮説組み立て部分といった内容である。
学会発表は初めてではないけれど,日本教育工学会で発表するのは,シンポジウム登壇を別にすれば,初めて。実は小さな発表デビューだった。発表資料を用意してそれに基づいて発表するスタイルとは違い,スライドを映写して発表するスタイルなので,さながら大学の講義みたいになってしまった。細かい反省はたくさんあれど,とりあえず90分タイマーは作動せずに終えられた。
長崎には前日の夕方に到着。長崎といえばH先生がお住まいになっている。ホテルにチェックインしてすぐにバスで網場町に向かった。すでに辺りは暗くなっていたし,事前に連絡もせずお伺いするので(先生,ごめんなさい),会えないことも覚悟して向かった。幸いH先生はご在宅。お疲れのところだったが,少しばかりおしゃべりすることが出来た。お元気そうでよかった。嬉しいことに,研究発表の場にも訪ねてくださった。ありがとうございました。
研究会最後の特別講演を英語で聴く。ゴールベースドシナリオによるコミュニケーションスキルを育成する教材をご紹介いただいた。約1000もの事例とエキスパートによる数百本のコメントビデオによってつくられた環境問題に関する教材だった。興味深くはあるけれども,行き着くところコストの問題だなと思う。
ただ質疑の場面で,扱っている題材が英米圏の価値観で集められたものに偏っていることを指摘するものがあり,もっと共生共存を指向するような文化的価値観によるコンテンツでつくってはどうかという主張があった(と思う,英語で…)。
問題解決のための最適解について,多数の事例や証言に基づくとはいえ,その解釈がある種の思考体系から逸脱することが出来ていない可能性はあるのかも知れない。シナリオ化するにあたって無意識に選択する文化的背景や習慣を意識化して考慮していくのは,また違った難しさを生むのかも知れない。
長崎空港までK先生運転のレンタカーに便乗する。食事をご一緒してから,先に飛び立つ先生を見送って,しばし待ち時間。今回の研究協力メンバーの皆さんと合流して,東京に向かう。ぼちぼち,年末と年始からの出張の準備をしなくてはならない。
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