暮れの気分を高めようと意識はしているのだが、相変わらずそれっぽくない大晦日。気分はともかく、あともう少しで2006年が去りゆく時刻となっている。
さて、いつもなら今年1年を振り返る企画をしているのだが、実家に戻ってすっかり休暇モードになっているため、「教育論点2006」を図にして済ませることにしよう(購読している日本教育新聞から話題を拾った)。
教育界今年一番のトピックは「教育基本法改正」を始めとした教育改革のゴタゴタ騒動であろう。この国の教育に関して、責任を持っているにもかかわらず動かなかったり、黙して支えるべき部分が騒がしかったりと、ほとんどすべてがちぐはぐになってしまったことが露呈したともいえる。「教育の政治問題化」、今に始まったことではないとはいえ、これが今年の教育界であった。
と同時に、これほど教育について誤解やミス・リーディングが放っておかれた年もなかった。その象徴的存在ともいえるのが「教育再生会議」であろう。もうハチャメチャである。
The Economist誌の年末年始号では、日本の教育に関して「The wrong answer」と題する短い記事を掲載している。OECD-PISAの順位が低下したこと。日本政府の教育改革は、若い人たちの批判的判断能力を育成することよりも、愛国心を育成するように教育基本法の書き換えにご執心だったこと。伊吹文部科学大臣が日本の小学校には英語外国語を教育する余裕はないと信じていること。新基本法が教育勅語を思わせること。日本には抜本的な教育改革が必要であること。なぜなら、日本は目を見張る経済変化を経てきたにもかかわらず、教育制度はほとんど何も変わってこなかったこと。そして経済的成功が、皮肉にも若い人たちが現代世界で成功するための創造的な技能に注意を向けさせずにきたことを書いている。
はっきりいって、諸外国から見た日本の教育界は、本当にずたぼろなのだ。ところが、肝心の日本の人たちが、その事にほとんど関心を持っておらず、「いじめ」だ、「未履修」だと、分かりやすいテーマについてマスコミに乗る形でだけ騒いでいる。
ただ、そうした議論において、さすがに人々のうんざり感も増しており、こうした議論の在り方のおかしさに気がつきつつあるのは、不幸中の幸いである。2007年は、きっと関連法案に関する議論の中で、より有意義な議論が起こることを期待したい。
さてと、そんなこんなで今年もあと数十分という時刻である。私個人にとって、感慨深い一年であった。来年はさらにアグレッシブな年になりそうである。いやいや、そうしないとね。
本年も教育フォルダ&教育らくがきをご愛顧くださりありがとうございました。皆様もどうぞ、よい年をお迎えください。
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