英国の教育テクノロジー展示ショウBETTも本日で終わりを迎えた。英国における教育での情報活用を牽引している政府機関がBecta(ベクタ:日本語にすると英国教育工学通信協会になるが,どうもピンとこない和名だ…)である。
そのBectaが「
こういった明確な見識を示していく機関が存在することが羨ましい。
英国の教育テクノロジー展示ショウBETTも本日で終わりを迎えた。英国における教育での情報活用を牽引している政府機関がBecta(ベクタ:日本語にすると英国教育工学通信協会になるが,どうもピンとこない和名だ…)である。
そのBectaが「
こういった明確な見識を示していく機関が存在することが羨ましい。
昨日は最後の視察校Boxgrove Primary Schoolに出かけた。Ealry YearとYear1からYear6の7学年あるPrimary Schoolである。やはりHigh Schoolとは違い,子ども達が元気で学校の中も明るい。
学校内は情報活用が日常化していて,インタラクティブ・ボードやプロジェクタの備え付けられた風景に違和感がない。5年前に最初の1セットを入れてから,その価値を認めて少しずつ導入数を増やし,ほとんどの教室に設置するに至ったという。同じ5年でも使い方でどこかの国とは大きな違いがある。
さて,一通りの仕事が終わった。ホテルにインターネットがないので,どうしても詳細を落ち着いてかけなかったが,また体制を整えて書くことにしよう。視察した先生方のブログもあるので,あるいはそちらを参照していただいた方がいいかもしれない。また後日ご紹介する。
今日は最後の街歩きと帰国の準備のため新しい旅行鞄を購入するのが目標。増えてしまった荷物を何とかして一緒に連れて帰ろうと考えている。それから宿題がいくつか未消化。日本に着く前にケリを付けなければ…。
少しいつもの調子に戻って駄文を書くことにしよう。今日は午前中,Roding Valley High schoolというところへ視察した。それからパディントン駅に戻り,スターバックスに長居してインターネット接続している。
イギリスの地下鉄は,コンパクトな造りになっている。自分たちのデカさを忘れたような大きさで,今朝の満員電車は東京都同じく大変だった。もっとも,ガイドブックにある通り,車両に無理矢理身体を詰め込んだりしない。乗れないならホームで待つ覚悟はあるらしい。でも鉄道のタイムテーブルは曖昧。遅れても気にしないというところが凄い。
車両内には網棚がない。日本だと網棚にスポーツ新聞を置いていくが,こちらは座席や窓際のところに平気でポイッと置いていく。で,しかも,わりと多くの人たちが何のためらいもなくそれらを回し読みしているのである。座席に置いてある新聞を取って座ったかと思うとそのまま開いて新聞読みモードである。ロンドンっ子の振りしたければ,まずこの流儀を真似てみよう。
そんな調子で手にした新聞を見たら,「リーグ・テーブル」だった。イギリスの学力テストの結果を学校毎に発表しているアレである。今日が新聞掲載日だったようで,ガーデアン紙とインディペンデント紙に掲載されているようだ。記念に買うことにした。
パディントン駅のスターバックスでねばっていると,旅行トランクを持った人々が増えてきた。ヒースロー空港へ向かう列車が出ている駅なので,これから飛行機に乗る人や,逆に飛行機でやってきた人たちということになる。私もそろそろ英国滞在の終盤を迎えている。思ってたよりも動き回れなかったが,ロンドンの空気を十分に吸えたので満足である。
アップル社の新製品は「iPhone」という名の新しいスマートフォンであった。それから「Apple TV」というテレビにパソコン動画を出力できる周辺機器である。戦略的にチョイスした発表だったため,新しいOSの詳細発表や新しいパソコンの発表は見送られたようだが,数ヶ月以内に何らかの動きがあるだろう。まずは新しい携帯電話端末で話題づくりといったところのようだ。
帰国前にいろいろ宿題があるのだが,そろそろ取り組まなくては…。海外旅行も楽じゃないなぁ。
BETTで資料を集めまくり,重たい荷物を抱えてホテルに帰ることになった。最寄り駅は会場横にあるオリンピア駅だったが,混んでいるのではないかと思い,ハイ・ストリート・ケンジントン駅まで歩くことにした。
歩くことにしたんだが,やっぱり荷物が重たい。バスが目についたので,行き先にパディントンと書かれていたのを確認して飛び乗った。実はバスに乗るのはそれが初めて。本当に目的地に着くのか心配だったが,見慣れた景色にたどり着いたので飛び降りた。
少し休んでから誘われた夕食会に出かける。ジャパニーズレストラン「Benihana」である。名前は聞いたことがあったが入ったことはなかった。これも初体験である。ちなみにBenihanaはアメリカ資本によるレストランである。
接客スタッフの中には日本人が居て,日本語も通じるのだが,調理人は日本人じゃない。私たちを担当したのはフィリピン人だった。怪しい日本語はともかく,ジョークが通じたのが分かるやいなや饒舌となり,賑やかな鉄板調理となった。
「オ〜,ハッピィバ〜スデ〜!」だとか「ボルケ〜ノ〜ォ〜!」とか,「ジャパニーズ・ミステ〜イク!」とか,調理しながらうるさいうるさい。さらに口ずさむはどこで聞いたのか「パラッパッパッパァ〜」というマク○ナルドのCMメロディ。こらっ,Benihanaでしょうが!
しかも調子に乗って,細切れしたステーキ片を投げて,口でキャッチさせようとする。「ユ〜,レッツトラ〜イ!」と容赦がない。だんだんお客の方が疲れてくる仕組みになっている。それも鉄板焼きの醍醐味なのか。お味の方は,繊細さがあるかどうかは別にして,美味しくいただけた。満足満足。
BETTとパッパラパーな調理人のおかげで,とても疲れた一日だったが,どちらもそれなりに楽しむことが出来た。かき集めた資料をじっくりと整理して詳細の報告をしなければならないが,とりあえず一仕事終わり。明日明後日は再び学校視察である。
1984年頃のイギリス・ダラム。炭鉱の街に住む少年Billy Elliotは,毎週ボクシングを習っていたのだが,ひょんなことからバレエの練習を始めることになる。女の子ばかりのバレエ教室で戸惑いながら身体を動かしているうちに,女教師に秘めたる才能を見込まれ,ロイヤル・バレエ・スクール入学の道へと導かれていく。
英国のポップスターにして世界的にも有名なエルトン・ジョンによる作曲のミュージカル劇。物語は炭鉱のストライキという背景を下敷きに,炭鉱男たちの文化とバレエという文化(女子どものもので,上流階級のもの)のギャップを通して,少年の可能性,共同体の団結,偏見や葛藤,プライドと友情を描いている。
歌声もさることながら,少年少女達の身体芸術の素晴らしさには感嘆した。物語自体はシンプルだが,それだけに物語に引き込まれてしまった。女の子ばかりに取り囲まれてあたふたしているシーンは,何となく経験があるので共感も出来たし。
親はいつまでも子どものことを想う。そして少年は旅立ち,一人で歩み始めなければならない。英国に来て,また家族の有り難さを感じた。私は,その想いに報いることが出来るだろうか。そして次代の少年少女を想うことが出来るだろうか。
9日はCheam High Schoolへ視察。ビクトリア駅に集合し,そこから列車に乗るのだが,一番乗りしたのに安心したのか切符のことを考えておらず,乗車直前になって未購入が判明。予定していた列車に乗れない事態をつくってしまった。あいたた…。
学校に着いて,まず全体的な説明を受けてから,二手に分かれて生徒の皆さんに学校内を案内してもらった。教科毎に建物や教室が確保されており,基本的には先生達が待っている場所に生徒が動くという方式。ほとんどの教室にプロジェクタが導入されており,先生達も支給されたコンピュータを使って授業を展開している。
簡単なお昼をいただいてから,午後には語学のクラス。まずフランス語クラスを見学。授業中はフランス語オンリーなので,聞いていてもちんぷんかんぷんだったが,先生に説明をしてもらってようやく何をやっているのかが把握できた。
授業の導入部はパソコンを使って曲を流し,フランス語のセンテンスを歌わせながら始まる。あらかじめ一人の生徒に記録係をお願いし,授業中によい発言やよい反応をした生徒の属しているチームを加点していくのを記録させていた。ゲーム感覚で授業の参加意欲を高めようという工夫のようだ。
パソコンと液晶プロジェクタで全部まかなうかといえばそうでもなくて,オーバー・ヘッド・プロジェクタ(OHP)も常備し活用している。投影された画像や映像に多少のズレやゆがみがあろうと,あんまり気にしないことが多いようだ。自分の使用している教材に合ったものを適宜活用しているだけ。その道具の使用感覚は(以前も書いたことがあるが)実にあっさりとしたものだ。生徒が求めているのは教師の「名人芸」ではない,実際的な授業の進行なのだという割り切りが感じられる。
次は日本語のクラス。この学校と交流を始める日本の中学校の先生とご一緒に訪問したので,小さな国際交流の時間が始まった。日本からのたくさんのお土産を紹介していきながら,日本の文化を紹介する。
定番のおりがみで「折り鶴」を折る。同行したメンバーが手分けして生徒さん達にツルの折り方をレクチャーした。ご存知のように折り鶴はスタンダードな一品だが,意外と折るのが難しい。みんな英語の説明を一生懸命聞いたり,近くの日本人訪問者に聞いたりして,ツルを完成させていた。
それから,けん玉のプレゼント。実際に生徒達もけん玉チャレンジした。そして,日本人にとってもなじみの薄くなってしまった「百人一首」もお土産。札のセットと説明だけではわかりにくいので,実際にどのようにして遊ぶのかをデモンストレーションすることになった。日本を代表する某大手電器メーカーの上司と部下対決が遠くイギリスの地で展開したかどうかは定かではないけれど,「はいっ!」と札を払う様子を生徒の皆さんは興味深く眺めていた。
日本語クラスの授業の進め方もフランス語クラスと同じ手法を採用していた。最初のつかみは,慎吾ママの「おは・ロック」。担当の先生が日本に滞在していたのがその時期なのか,お気に入りなのだそうだ。それから,「雨に唄えば」のメロディに乗せて日本語のセンテンスを練習する。面白かった。
手厳しいことを書けば,必ずしも担当の先生の日本語は完璧ではない。もちろん完璧であることは難しいからそれは問題ではない。むしろ,そんな日本語のクラスを参観しながら,日本における英語の授業を英米人が見たら,こんな感覚で見えるのだろうなと逆想像をして,ちょっとゾッとしたのである。自分ももっと英語勉強しよう…。
長い時間お邪魔させていただけた上に,ICT機器についてもいろいろ説明してもらえて勉強になった。インタラクティブ・ホワイトボードを思う存分触らせてもらったので,操作技能が少し上がったかな。セットになっている白板ソフト(?)はなかなか多機能で,授業の中で役立ちそうな機能が満載だった。なかなか楽しい。
今後は,インタラクティブ・ホワイトボードもペンを使わず手で操作でき,さらにマルチタッチに対応して,複数の生徒が画面上に入力するのをサポートし始めるだろう。某大手電器メーカーさんが実現して,プロジェクタをオレンジ色に塗ったら,シェアも少し上がるかも知れない。たぶんだけど。
ただいまイギリスの教育テクノロジー展示ショウBETTの会場に来ている。ロンドンはケンジントン(オリンピア)にある展示会場施設で催されているのだが,教育市場に特化しているというのに規模のでかいこと。どんな展示があるのかを駆け足でなぞるだけでも大変である。詳細については,もう少し落ち着いてから書こう。
簡単な印象としては,コンテンツを提供する展示が多いし,学校におけるICTを様々な形でバックアップするコンサルタント企業の展示も多く感じた。英国のICTといえばお馴染みのデジタルホワイトボードも各社揃っているし,学校マネジメントの基幹ソフトを扱う企業も多い。小さなブースを構えてニッチな市場で頑張る企業もたくさんある。
それらに混じって,政府や公的機関もブースを出して存在をアピールしていた。結局,明るいところに夏の虫が寄ってくるように,国のICT施策を率いる機関や関係者がアクティブになることが,BETTのような展示ショウにとって大事なのかも知れない。経済的利得をえることが企業の宿命だから,それだけの集まりだと商売っ気が強すぎる。そこになぜそのような経済投資が必要なのか,政策的なメッセージを添える意味でも,公的機関の大規模な出展は必要なのかも知れない。
展示ブースを巡っているうちに,イギリスに来ていることを忘れて,資料を集めすぎた。どうやって持って帰るのかという問題が発生。小包の送り方を教えてもらわないといけないなぁ…。
昨日は学校視察も行ってきた。本当はそれについても詳細を書きたいが,手元に資料もないので,これも次回以降詳しく記録したいと思う。いやはや,とにかく会場は熱気ムンムンです。
ニュースでご存知のように,米国ではCESというコンシューマー向けエレクトロニクスに関するショウが開催されている。そしてほぼ同時期にアップル社のパソコンMacintoshに関するショウも行なわれる。そしてそして,イギリスでは教育に関するテクノロジーの展示会議BETTが開催される。
この2007年は,いずれのショウにおいても今後の動向を方向付ける重要なニュースがある。CESでは,マイクロソフトによるWindows Vistaのリリースがあげられる。長らく待たされた新OSだけに,新鮮味が薄くなっているものの,1月30日に予定されている本格発売が達成されれば,今後のパソコン界はそれを中心に動かざるを得ないわけで,とにかく重要である。
しかし,Windows Vistaに負けず劣らず,むしろより注目を集めているのがMacWorld Expoにおけるアップル社からの新製品発表である。今年の発表は,アップル社30周年を経た次なる一歩として,かなり期待度が増している。もしもこの期待にたがわぬ内容の新製品がリリースされれば,直接的にも間接的にも(iPodがそうであったように)今後のパソコン業界に強い影響を与えることになる。
そして,そんな二大ショウの内容に影響を受けるのが教育分野のテクノロジーに焦点化したBETTだともいえる。残念ながら,こうしたショウの存在やそれと同時並行して展開される国家間の外交などは,一般の日本人にはほとんど知られていない。日本のマスコミも教育関係情報誌すら,まともに伝えようとする気概がないのだから,無理もないか。
果たしてBETTとはどんな催しなのか。英国の学校ではどんなICT活用や教育が展開しているのか。拙いながらも,この教育らくがきが皆様にお届けする予定である。
今週末,英国は雨模様だった。歩き回るのはやめて,ピンポイントで目的地を決めて見学することにした。3日目は,科学博物館を選ぶ。お隣に自然博物館があり,内容的にはそちらを選んだ方が面白みもあるのだろうが,各地に寄ったら科学博物館を見ていることもあって,流れの中で選んだ。
多くは世界の科学博物館に似たオーソドックスな展示ではあったが,規模も大きいし,新しい科学情報を伝えようと工夫したり,ヨーロッパ圏っぽいセンスの展示装置などは興味深かった。
日本にも科学未来館という野心的な施設があるから,決して諸外国にあって日本にないというわけではないにしても,国全体における影響力の持ち方という点に違いを感じてしまうのは,単なる錯覚なのだろうか。日本に帰ったら,上野あたりに出向いて,考えを深めたいと思う。
翌日(4日目)は,やはり天気が優れない。日本から持ち越してきた宿題を少しでも片付けなければならないので,どこか静かに勉強できる場所が欲しかった。
そういえば,かつて学部時代の指導教官から大英図書館の土産話を聞いたことがある。かつて大英図書館は大英博物館に併設されていたが,今日では独立した建物に移設されている。自習をしたければ図書館と相場が決まっているので,大英図書館に紛れ込んでみようと考えた。勉強道具を持って,いざ出発。
大英図書館に着くと,正門になにやら撮影隊がいる。図書館入り口の掲示を見ると,「BBCのドラマ撮影があります,ご了承ください」なんて書いてある。へぇ〜と思いながら通り過ぎて,とにかく自習できる場所を探した。
幸い,2階にソファーと机が用意されている。午前11時頃には人気も少なく,これは静かに勉強できると喜んでさっそく宿題を始めた。ところがしばらくすると,がやがやと人がやってくる。ドラマの撮影隊が周りを取り囲み始めた。屋内の撮影が始まった。さらにお昼を過ぎると,図書館の利用者も増えてきて,かなり賑やかになってしまった。
そんなこんなで静けさは無くなってしまったが,6時間弱ねばって,宿題を進めた。こんなロンドン滞在も,ある意味贅沢かも知れない。大英図書館閉館間際に特別展を見る。古い地図のコレクションを通してロンドンの街を見るという企画。テムズ川を中心として,ロンドンという街がどのようにつくられ,発展していったのかがよく分かる興味深い展示だった。こういう良質な展示企画がFreeで見られるのだから素晴らしいと思う。
夜,こちらに住んでいるHさんから電話をもらう。明日,オックスフォードに行くがどうですかというお誘い。実は行こうかどうしようか迷っていたので,喜んでついて行くことにした。というか,現地で待ち合わせすることにした。
そんなわけで,いよいよ5日目から,待ち人来たるという感じで他の皆さんとの行動が始まる。
初めての渡英なのに,ロクな準備をしなかった割りには,スムーズにホテルまで。まあ,ヒースロー空港から出ているヒースロー・エキスプレスという列車の到着駅がパディントン駅というだけで,その周辺のホテルにしたのだから,当然といえば当然だろう。成田エキスプレスと違って,ロンドン市内まで15分という速さである。楽なことこの上ない。
海外でインターネット接続を確保するためには,いくらか手段がある。
1. インターネット接続完備のホテルに宿泊すること。
2. モデムを用意して,海外ローミング用アクセスポイントに接続すること。
3. 無線LANサービス(Hot-Spot)を探して,料金を払ってアクセスすること。
一昔前なら1.ができるホテルが少なかったし,3.もサービス自体が普及していなかった。海外でインターネットをするには2.の方法を使ってアクセスするしか実質的には手がなかった。
そのため,一昔のモバイラーは,ソフトバンクなんかが出していた海外通信接続の本を参考にしながら,電源から電話回線に関する様々な情報を押え,変圧器はもちろん,電話ジャック変換器や電話線チェッカーや配線反転器などを揃えておくのが当たり前。準備を万端にしても必ずしも接続成功しないことを覚悟しながら飛び回っていた。
そんな時代を知っている者からすると,世界の大都市なら1.2.3.のどれかは必ずあって,しかもインターネットカフェみたいな場所も期待できる今日の環境は,夢のような世界である。
そんなわけで,本当なら1.か2.の方法でホテルからアクセスするつもりが,安宿に宿泊しているために,スターバックスまでやってきて,3.の方法で接続している次第である。それでも自分のパソコンでインターネットアクセスできるのは有り難い。
イギリスに着いた翌日,さっそく街歩きに出かけた。巡るべきポイントがたくさんあるのはよく分かったが,身体は一つだし,時間も限られているので,自分でコースを決めて歩くことにした。
地図とにらめっこして,バッキンガム宮殿から国会議事堂(ビッグ・ベン)に向かい,テムズ川沿いを世界最大といわれる展望観覧車ロンドン・アイからテクテク歩き,ミレニアム・ブリッジを渡ってセント・ポール大聖堂を眺めたら,東にあるロンドン塔を目指すというコースプラン。
午前10:30から出発して,まずは地下鉄でビクトリア駅へ。この国の女王様がいらっしゃる場所をまず表敬訪問する。それにしてもロンドンの街はどこを切っても絵になる。なかなか魅力的な街だ。バッキンガム宮殿の前には広場が広がり,そしてセント・ジェイムズ・パークがある。ハトやアヒル,カモなどがたくさんの鳥が生息している。公園の中をのんびりとテムズ川方向へ歩いて道路に出ると,遠くにお馴染みのビッグ・ベンが見えてくる。
ガイドブックの写真を見るとビッグ・ベンは色白なのだが,実際のビッグ・ベンは化粧直しでもしたのか金色っぽかった。ニューヨークで見た自由の女神の時もそうだったが,ビッグ・ベンも想像していたほど大きくはない。それでもロンドンのシンボルとしては十分な威厳をもってそこに存在していた。
橋を渡り,旧シティ・ホールでいまは水族館になっている場所にマクドナルドがあったので,腹ごしらえをする。アメリカ文化に乗っ取っている分には,こういうときに楽である。
川沿いを少し歩くとロンドン・アイがある。21世紀に入って新しいロンドンの観光シンボルとして作られた展望観覧車である。普通の観覧車とは違い,ゴンドラではなくカプセルという乗り物を採用し,なるべく視界を妨げないように作られたデザインが珍しい。いくつかの映画の中でも舞台として登場するほどである。ちなみにこの日もどこかの撮影隊がカプセルの中で芝居を収録していた。
ロンドン・アイからウォーター・ルー国際駅へ。この駅でヨーロッパ大陸へ向かうユーロスター列車が発着する。ホームのでかさを期待して寄ってみたが,残念ながら外から覗き見ることは難しかった。早々に退散して次へ。
再びテムズ川沿いへと戻り,テクテク歩くとTATE MODERNと呼ばれる現代美術館が現れる。そのシンプルにして独特な建築に目を奪われながら,その真ん前から対岸まで伸びるミレニアム・ブリッジを渡ることにする。ちょうどセント・ポール大聖堂へ導いてくれるラインである。
映画メリー・ボビンズでも見る者に印象を残すセント・ポール大聖堂は,英国国教会の本拠地。この季節は街中,修復工事が多くて,大聖堂も一部修復工事のために幕が掛かっているが,多くの人たちが訪れていた。ここも内側の見学は有料なので,外をグルッと回ることにする。次第に空が本格的に鳴き始め,映画さながらに雨のセント・ポール大聖堂を味わった。
あとは,雨の中をロンドン塔まで歩く。雨のせいなのか,少々遠く感じた。それでもなんとかたどり着く。川の方にはタワー・オブ・ブリッジ。なかなか素晴らしい眺めである。ちなみにこれはロンドン・ブリッジと呼ばれる橋ではない。写真はロンドン塔(城内)を見学しまくった後に,あたりがすっかり暗くなってから撮影したもの。独りで見るにはもったいない景色である,ははは。
ロンドン塔は,歴代のイギリス国王が住んでいた場所らしい。もっともこの城の歴史は戦いや戦争の歴史であり,展示内容も武具や牢獄など,おどろおどろしい歴史を伝えるものも多い。時間がなかったので見られなかったが,王室所有の宝石や装飾品なども展示されているようだ。また来る楽しみをとっておくことにしよう。
なんとか当初の予定を達成。あとはインターネットにつなげるため,リージェント・ストリートにあるアップル・ストアに向かう。地下鉄でピカデリー・サーカス駅。そこから歩いたのだが,実はオックスフォード・サーカス駅の方が近かった。
アップルストアで久しぶりにメールチェックとブログ更新。いろいろ返事しなければならないメールも来ていた。少し遅れてます,ごめんなさい。
滞在途中で欲しくなった周辺機器があるかと思ったらアップルストアには売っていなかった。聞いたらPC WORLDというパソコン店で売っているのではないかと店員さんが教えてくれた。お店はケンジントンにあるらしい。というわけで,帰りに寄り道してPC WORLDでお買物。なんとか目的の品を見つけた。これもロンドンが大都市だから出来ることか。
ようやくパディントン駅に戻って,ホテルへ。いやはや,疲れました。でも,なかなか充実した一日であった。これが街歩きの醍醐味である。忘れないうちにもう一度地図で歩いたルートを確認して,記憶を呼び覚ましてみる。
ロンドンの街中では,日本人やアジア人に会うことが少ない。聞こえてくるのはドイツ語やらスペイン語やら,ヨーロッパ大陸の言葉。向こうからの観光客がいっぱいみたいだ。私が宿泊しているホテルもアジア人は私一人。ちょっと寂しい気がしないでもないが,まあ気楽といえば気楽である。
ただ現地に住んでたり働いているらしき日本人はちらほら見かける。そういえば,行きの飛行機でもイギリス在住の若い夫婦と赤ちゃんに出会った。いつものように赤ちゃんにじっと見つめられたのが縁で,少しばかり言葉を交わした。生まれて5ヶ月の赤ちゃん。このお正月に一時帰国して両親に見せに行ったのだとか。お母さんに「お子さんいらっしゃるんですか?」と聞かれた。「この子,ずっと見ていたので…」と言われて「いいえ」と苦笑いして答えた。「イギリスの子育てはやりやすいですか?」と聞いたら,子育てには理解のある環境だと教えてくれた。
というわけで,初めての英国を相変わらずの調子で味わっているところである。翌日は,天気も雨。動き回った前日から切り替えて,目的地を科学博物館に絞って堪能したのだが,そのお話はまた次回以降。
最近のコメント