久しぶりに布貼りバインダーを買った。布貼りバインダーには特別な思い入れがある。その不易なデザインに安心感を感じていることもそうだが,私が学部時代にとり続けてきた講義ノートを今も実家で大事に守っているのが布貼りバインダーなのである。
浪人時代と学部時代に,私はルーズリーフを使ってノートをとっていた。それを閉じるのはたまたま購入した無印良品のバインダー。これも無地の茶色いシンプルなバインダーで,日々の講義の内容はそこへ取り込まれていった。
学部時代は講義をノートにまとめるのが楽しかった。大いなる世間知らずであった私は,大学の講義で接するものが新鮮で仕方なかったし,その雑多な学問の破片を書き留めるためにルーズリーフを使ってどんどん記録していたが,そうやって自分なりにつくったノートを眺めるのも好きだった。たまに学部時代のノートを覗くと,そのときの楽しさがよみがえるときがある。
要するに,私は小中高校と大した勉強をしなかった分だけ基本的な知識が欠けてはいたが,その後運良く入った大学の教養部で受けた講義で展開していた思考を巡らす学問世界に魅了されたのであった。そして,その出会いや思いの記録を保管しているのが布貼りバインダーというわけである。
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